2013.09.01

 

 9月1日(日)、鹿沼のニューサンピア栃木にて歯科医師会の学術研修会が開催されました。毎年この時期に開催される本研修会ですが、今年は県民公開講座という一般の方にも参加いただける形での開催となりました。講師として国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部部長の海老澤元宏先生をお招きし、「食物アレルギー・アナフィラキシーへの対応〜現代のアレルギーについて考える〜」というタイトルで講演いただきました。

 食物アレルギーに対する行政の対応はこの10年ほどで大きく進歩し、その診断および治療に関するガイドラインもかなり整備されてきました。このような流れを主導的な立場で牽引されてきた海老澤先生ですが、食物アレルギーへの対応で重要な点として以下を強調されておりました。

 まず、生後1年という早い時期に食物アレルギーの検査、診断を詳細に行ない、患者のアレルギーの特徴をしっかり把握することが大切であるということです。食物アレルギーは、年齢が進むとともに自然に改善してくることが明らかとなっており、患児が成長とともに摂取できるアレルゲンが変化してくるという視点を持って経過を見ていく必要があります。

 一般に、卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、大豆等に対するアレルギーの有無については、血液検査にてそれらのアレルゲンに対するIgE抗体を持っているかどうかで判断されています。しかしながら、血液検査で陽性であったとしても、実際にその食物を摂取したところでアナフィラキシーあるいはショックに至るような重大なアレルギー反応を示さないことも少なくありません。したがって、どの食物のどれくらいの量に対し、どの程度のアレルギー反応を示すかを確認するための負荷試験を必ず実施することが重要です。外来あるいは入院をしての負荷試験を行なうことで、血液検査の結果からはあれもダメこれもダメということで摂取を避けてきたものも、問題なく食べることができることが確認できることも多々あり、そしてそれが患者の食生活のQOLの向上につながるのです。

 食物アレルギーは、アレルゲンである食物を摂取後およそ30分位で症状(皮膚症状としてのかゆみ、蕁麻疹、呼吸症状としての呼吸困難、激しい嘔吐・腹痛など)が顕在化してきます。不幸にしてこのような重篤なアナフィラキシーショックを起こしてしまった際の対応として、一般の方でも使用できるアドレナリン投与手段である「エピペン」の有効な使用法、使用のタイミングについても分かりやすく解説いただきました。

 学校給食時にアナフィラキシーショックで幼い命が奪われるような痛ましい事故を二度と繰り返さないために、家庭から学校を含めた社会全体が食物アレルギーに対する正しい理解を持って取り組んでいくことの重要性を認識した講演会でした。

 

檜山成寿

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