7月19日（土）、20日（日）の2日間、九州大学医学部百年講堂で開催された「第27回日本顎関節学会学術大会」に参加してきました。振り返るに、私が初めて本学会学術大会に参加したのは、平成4年に山梨医科大学口腔外科学講座主催で甲府にて開催された第7回大会でした。それ以来、日本顎関節学会専門医の一人として、最新の知見を習得すべく毎年参加しております。
今大会のトピックスの一つは、メインシンポジウムで取り上げられたテーマ「顎関節症の分類と診断基準の変革」です。口腔顔面痛（Orofacial Pain）の分野において国際的に多大な影響力を持つ米国口腔顔面痛学会によるAAOPガイドライン第5版が昨年4月に発刊され、その中に従来の顎関節症の国際分類であったRDC/TMDの最新改訂版であるDC/TMDが収載されました。このような世界的な変革の流れの中で、日本顎関節学会も昨年、旧来の顎関節症病態分類・診断基準を刷新し、新たな分類・診断基準を発表しました。その内容は、DC/TMD分類と可及的に整合性をもたせるという意図を強く感じさせる斬新なものであります。
その他のシンポジウムでは、顎関節症の病因としてのブラキシズムの立ち位置について、顎関節症治療としての理学療法の実際、薬物療法の考え方について取り上げられ、大変興味深く参考になるものでした。さらに、日本においては歯科分野のみならず医科の分野においても口腔顔面痛に対する十分な理解が広まっていない現状にあって、頭痛、神経障害性疼痛、顎関節症による疼痛などの慢性疼痛に対してどのように対処したらよいのか、薬物療法を含めた治療対応を一層深く学ぶ必要性を感じた2日間でした。
檜山成寿
