2012.08.24

?昨年の3.11東日本大震災時に発生した福島原発事故以来、国民の放射線被爆に対する意識は良くも悪くも極端に変わった。それに伴い、医療分野における検査・治療目的のいわゆる「医療被爆」についても、何かと話題になる機会が増えたように思う。本年6月22日付の朝日新聞朝刊一面に、「検査・治療での被曝量、一生通じ把握へ – 学会連携、仕組み作り」と題する記事が掲載された。国連科学委員会の推計によると過去20年間に医療被爆線量がほぼ倍増したこと、その一因としてCT検査の増加があること、CT保有台数が先進国の中でも突出して多い日本はまさに「医療被曝大国」であることが記載されていた。  歯科医院でも、むし歯・歯周病の精査目的でレントゲン写真を撮影する機会は少なくない。果たして歯科用レントゲン写真撮影は安全なのだろうか。「それほど被曝は多くはなさそうだ」程度の認識の方は意外と多いのかもしれないが、実際どうなのだろうか。医療被曝を除いて、1年間の一般人の被爆線量限度は1.0mS(ミリシーベルト)と決められている。医科X線検査の例を挙げると、胸部X線CT撮影で1回につき6.9mS、胃バリウムX線検査で0.6mS、胸部X線集団検診で0.05mSである。CT撮影が如何に被曝が多いかを改めて認識させられるであろう。一方、歯科用レントゲン検査はどうかというと、最も撮影頻度の多いデンタルX線写真撮影で1枚0.01mS以下、パノラマX線写真撮影でも1枚0.01mSである。当院で導入しているモリタ社製歯科用3DXマイクロCTの場合、撮影範囲にもよるが、撮影1回につき0.01〜0.1mSとされる。歯科用CTは医科用CTと比較して被爆線量は少ないといわれているが、実際その差は歴然としている。  東京 – ニューヨーク間を飛行機で往復すると0.19mSの被曝となるそうだ。飛行機での旅行と医療被曝を同じ土俵で論じることに意味はないであろうが、当然のことながら医療用といえども被爆線量は少ないに越したことはない。最小限の被曝で最大限の検査結果がもたらされるためにも、常にrisk v.s. benefitという観点からの医療人としての適確な判断が求められるところである。

院長 檜山成寿

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